Fumiko’s Second Life

2008年に脱サラした主婦が開業して店を始めるまで〜始めてからの約2年間の記録

リハ・モードのナタリー・コールは"Still Unforgettable"

先週の金曜日に続き、これまたGREEで知り合った会社の先輩(半年だけ在籍期間が
重なっていたけれど、大阪勤務かつ私の入社した年の秋に退社されていて面識が
なかった)とブルーノートへ。
待望のナタリー・コールのライヴ

ナタリー登場の前に、タミール・ヘンデルマン(pf)、ケヴィン・アクスト(b)、
ロバート・ミラー(ds)のトリオが演奏を始める。
導入の1曲かと思いきや、3曲も演奏するので、うまいから聞き入ってしまうけど、
ナタリーは???と思っていると、
「Ms.ナタリー・コールは最近の怪我により、ステージに立つことができません」
と英語でアナウンスが入る。
え?と思っていると、ライブをやらないということではなく、
座ってパフォーマンスすることを観客に了承してもらうための説明で、
そのままナタリーを呼び込むアナウンスへ。

ナタリーはスタッフに伴われ、車椅子で登場。
テンションも低そうだし、どうなってしまうのだろう?と思うと、
"How are you doin'?"と挨拶する。
それはこっちのセリフなんだけど、と思いつつ、観客は「Yeah!」と拍手で盛り上がる。

ゆっくりと、ペギー・リーの"Fever"を物憂げに歌い始め、
ダイナ・ワシントンの "What a difference a day makes" を、
ダイナよりもローテンポで歌い上げる。
私は「サタデー・ナイト・ライブ コンプリート・ファースト・シーズン」
エスター・フィリップスが歌ったヴァージョンを聞き慣れてしまったので、
ものすごくスローに思えたが、
歌詞の意味がしっかりと伝わってきた。

ナタリーの英語はMCも歌詞も、とても聞き取りやすい。
英語が、というより、言葉の発し方なんだろう。

だんだん調子が上がってきたナタリーは、
9月9日に 「Still Unforgettable」 というアルバムを発売する、と語り始めた。

そのタイトルから、大ヒットした"Unforgettable" をすぐに思い浮かべ、
今日歌ってくれることへの期待を含め、観客は拍手で応える。

まだレコーディングを終えたばかりで、アルバムアレンジをライヴで披露するのは初だからか、
一度カウントを忘れて「私がカウントするだったっけ?」と笑わせてくれるシーンもあり、
「リハーサル・モードなの♪」と言いながら、
頭の中は既にニューアルバムを引っさげたツアーに?という感じで、
1曲歌うごとに調子が上がってくる。

これって、英語でブログに書いたら情報解禁前なんじゃないの?と思うぐらいだったが、
調べてみたら18日付のJazz Timesで発表されたばかりの内容だった。

ニューアルバムから披露してくれた曲は、
ナット・キング・コールフランク・シナトラベット・ミドラーが歌った "Somewhere Along The Way"、
フランク・シナトラ"Nice 'N' Easy"
トニー・ベネットペギー・リーシナトラエラ・フィッツジェラルドが歌った"The Best Is Yet To Come"、
フレッド・アステア主演の映画「ヨランダと泥棒」のサントラ "Coffee Time" など、
「Still Unforgettable」の名にふさわしい、ナタリー・コールが初めてプロデューサーとしての
クレジットを冠するアルバムならではのセレクション。

そして、お待ちかねの"Unforgettable"
十八番だから歌ってくれることは誰もが期待していた訳だが、
まさか、スクリーンが降りて来て、ナット・キング・コール部分だけの映像が流れ、
生でPVの再現をしてくれるとは思わず、ナタリーのパートが来る前から
私も先輩も、思わず感涙。

そして、「まだどこでもやったことがないの。実験よ」とナタリーは言って、
ニュー・アルバムのタイトル・トラック、 "Walkin' My Baby Back Home"を
ナット・キング・コールのオリジナルトラック
新録のビッグバンドとミックスしたと思われる豪華カラオケにベースとドラムを生で載せて、
ナット・キング・コールとのデュエット曲の新曲をアメリカに先駆けて披露してくれたのだ。

ずっと座りながらのライヴながら、ハイトーンもスキャットもすばらしく、
予告編が実は本編だったみたいな、すごいドキュメンタリーを見てしまった、という感じ。
足を怪我していることを除けば、58歳とは思えない色気と素晴らしいパフォーマンス。

きっと、29日までの長丁場を無事にやり終えて、
9月のアルバムの発売に向けて勢力的にプロモーションをし、
アルバムが発売されてからアメリカ国内をツアーで回り、また日本に帰ってきてくれることと思う。


・・・そういえば、金曜日に聴いたシャニースの"I Love Your Smie"も、
ナタリー・コールナット・キング・コール"Unforgettable" も、
私が入社した1991年、17年前のヒット曲だ。
いよいよ25日で17年間のサラリーマン生活が最後になる私は、無意識のうちに
17年前へ "Back to the Future" しているらしい。
シャニースはカムバック組だが、ナタリーは1975年からほぼ休むこと無く活動(80年代に
薬物依存のリハビリをしながらも、アルバムはコンスタントにリリース)している現役組。

どちらも素晴らしいと思う。
多様な人生を送るアーチストを見ていると、
人生はまだまだ長い、と勇気が湧いてきてパワーをもらえるので、
ライヴ通いはやめられないのである。